メニューをスキップして本文へ


ここから本文

櫻桃ジャムのつくりかた

  • 2012年7月 9日(月) 03:08 JST
  • 投稿者:
    turbo


 この季節になると、杏ジャムのつくりかたで検索してくる方が一気に増えます。最大で10,000アクセスを超える日あったり…。さておき、写真はサクランボのナポレオンという品種。酸味があってジャムには向いています。

 サクランボは、松葉の部分を取り、クエン酸の液に浸けていきます。ともかく褐変が早いので、以降は空気に晒さないことが基本です。20リットルの発泡スチロール容器に目一杯のものを松葉取りだけで小一時間かかります。そのままクエン酸水で洗い、今度は1つずつ種を取って新しいクエン酸水に浸けていきます。これが大仕事で2時間半以上はかかりますでしょうか。ここまでが下ごしらえ。

 続いて、取った種(こちらはクエン酸水での浸漬は不要ですが、あるとなお良いです)を、ひたひた程度のクエン酸水にて煮ます。かき混ぜながら沸騰してから3〜5分程度は煮て、香りとともにペクチン質を移します。さらにザル等で種のまわりの実が取れるとなお良いです。

 この煮液のみを鍋に移し、火にかけながら、浸漬してあるサクランボの実を量りながら煮液に入れていきます。手早く強火で、でも焦がさぬように。サクランボもほとんど水分なので、水を加える必要はありません。というか、加えたら煮詰めが大変なことになります。サクランボは焦げやすいのでともかくかき混ぜる手をやめないこと。

 ある程度煮溶けてくる頃には、アクがすごいことになっているので、丁寧に取ります。まだ砂糖は加えません。沸騰したのを確認したら、一度火を止めて、30分程度休めます。時々かき混ぜながら品温を一度下げておきます。煮液の糖度を測りながら、30度程度になるぐらいまでグラニュー糖を加糖しておきます。

 改めて加熱を開始し、アクを取りながら煮詰めていきます。この時が特に焦げやすいので注意。実が煮崩れていきますが、取り残しの種や皮の黒変等はここで丁寧に取り除きます。今回のサクランボは正味6㎏ちょっとでしたが、それでも10粒程度の種は混入してしまいますね。

 煮詰めながら徐々に加糖して、ある程度の粘度にて40度程度の糖度とし、酸味が不足する場合にはクエン酸等で調整します。佐藤錦と違って、ナポレオンの場合には加酸の必要は少ないですが、気をつけないと甘ったるいだけの物になってしまうので注意のこと。

 更に煮詰めを続けて、糖度45度近くになって、仕上がりの柔らかさになったら完成ですが、アクの引きがダラダラ続く場合には、仕上がり直前で一度火をとめて、水分を飛ばして15分程度息抜きをしておくと、仕上がりがより照るようになります。ただ、アクの引きが悪いということは、製品の褐変がしやすいということなので、最初の煮詰め段階で、如何に強火で焦がさずアクを抜くかが大事であるということです。今回は、6.3kgのナポレオン(正味)に対して、加糖は3.0kg、加酸はなしでした。出来上がり量は140ccのビン(150g)にて49本。

 さて、これで1本あたりの原価はいくらになるでしょう?
実の値段もさることながら、人件費が一番高そうですね。下ごしらえに3時間、煮詰め時間は8時間ぐらいかかったかな。




 昨日は、隣町の湖北駅近くのイベント会場で1本300円という、どう考えても原価割れの金額(6割引以上(^^;;)で出してきました。まあ、1番人気はブルーベリーでしたが、杏、ラズベリー、紅玉ジュレも同じぐらいの人気でした。さすがに来月は別の種類のジャムの味見ということにして、値段は適正に戻しますけどね。上が地元商店街の出店の様子、下は準備中のもの。奥にブルーベリーのハタが見えるでしょ。
(イベントの主催側のfacebook上の写真を拝借しました。謝々)

トラックバック

このエントリのトラックバックURL:
https://www.kaimu.jp/blog/trackback.php/20120709034146350
表示形式
コメント投稿

コメントは投稿者の責任においてなされるものであり、サイト管理者は責任を負いません。


ここからフッタ