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手揉み茶体験【1日目】

  • 2003年8月30日(土) 00:00 JST
  • 投稿者:
    turbo
■■■■■2003.08.30(土)  くもり@金谷 手揉み茶体験【1日目】

手揉み茶その1
 8/30~31にかけて、静岡の金谷にあるなかだっちという体験農家に行ってきた。奥さんは町会議員さんもやられている方ですが、農家のおっかさんという感じ。今まで私が会ったことのあるお茶屋さんのおっかさんと共通する感じがあるのは、茶農家の共通の特徴だろうか。ご主人がまた気さくな方で多趣味な方ときていて、話を聞いていても飽きない。

 手揉み茶は我が家では私のひいじいさんにあたる、嘉平治の代には静岡から職人さんを呼んでやっていたそうで、とても熱いものだと聞いていました。実際にやってみるとホイロが炭からLPガスに替わっているせいなのかあまり熱くは感じない。表面温度で90度ぐらい(葉ぶるいの時)から37~38度ぐらい(こくりの時)に徐々に下げていくそうです。ホイロは木枠に和紙を交互に張ったもので熱をゆっくりと伝えるようになっている。

 まずはやぶきた種を1芯2葉程度に摘む。本当は生葉2.5kgを揉むそうであるが、初めてということで1kgを目標に摘む。ご主人と手分けして摘み、量ってみると1.1kgある。火照りを取る程度に平たいザルにあけて広げる。長辺50cm程度のしっかりした作りのザルであったが、我が家には小さい頃に同じ様なザルで長辺160cm程度のものがあった。同じように使ったものなんだろうなぁと思う。

 次は蒸すわけであるが、その前に腹ごしらえをする。合間に保存会の講習用ビデオを見せていただいた。複雑である。ポイントは何だろう?

 蒸しの工程では手揉みの場合だいたい40秒前後蒸すそうだが、最近のお茶は深蒸しといって130秒前後らしい。今回もならって40秒前後を蒸す。セイロに重なるか重ならないかの厚さに均等に茶葉を並べ、蒸し始める。大きいセイロをもってしても、大体300g弱である。しばらくすると茶葉の香りが生臭く立ってくる。セイロの杉の香りに消されるので注意して嗅ぎ分けながら生臭みが変化するのを待ち、セイロの蓋を開ける。大きな箸で茶葉を「の」の字をセイロの半分大に描くように素早く混ぜていく。くっ付いた茶葉をはがしながら攪拌するイメージである。セイロの縁の茶葉を落とし、箸の茶葉も落とす。蓋をしてさらに香りの変化を見ていく。香りが甘くなった時に終わるわけであるが、蓋を強く交互に叩いて、茶葉の露を払う。

 そしてセイロを取り出し、すぐさま風を通すために片手でセイロを左右に振り子に振る。竹を張った露切り台の上から扇風機で風を送っておき、ふるい落としていく。茶葉の色は透明感がなくなり、均一になっているが艶もないという感じである。ここまでを繰り返して露を切った茶葉を用意する。

 いよいよ揉みである。工程がいくつもあるのだが、まずは「葉ぶるい」(写真左上)。簡単にいうと表面の露を乾かしつつ、くっ付いた茶葉をばらける。掻き上げて小手に落とすイメージである。この段階の目的は葉の縁から水分を飛ばして、茎の表面の水分を取ることにある。そこで時々は「葉型づけ」といって、力を入れずに揉むことで葉の縁をしんなりさせておく。

 次の工程は「ころがし」。ホイロの長辺を使って、全身の重さをかけて、茶葉のかたまりを転がしていく。目的は茎をポキポキと切っていくこと。このときずったりすると均一にならないし、葉の縁ばかり乾いていく。茎の水分を少し乾いてきた葉の方に移しつつ、全体として乾かしていく感じらしい。実際にやってみると、ホイロを壊すんじゃあないかと思ってか、力が入らない。押しつけるというよりは、パンをこねる際に強力粉のグルテンを切る感じに近いと感じた(翌日の釜炒りで初めてわかったんだけど)。最初は「軽回転」といって、小手で素早く早く揉む。この力加減がどうも難しいようだ。ご主人曰く、「全体を通して赤ん坊の手を握る時の感触を保つんだ」ということだ。ある程度水分が出てきたら「重回転」といって、大手で力を掛けて揉む。スピードではなく全力を使うイメージ。最後は「ねり込み」というらしいが、私は「重回転」で力を入れすぎたようでこれは行っていない。結果はどうなったかというと、粉がたくさんになってしまった。

 「ころがし」の最終段階で、「玉解き」といって、固まった茶葉をほぐしつつ手を擦るように合わせて揉みきってほぐしていく。ここまで来たのが写真の右上で、ここでおにぎりなどで腹ごしらえをする。3時のおやつというところですな。ホイロも汚れてきたので、茶葉はゴザにとって、ホイロの表面(助炭という)の清掃をする。茶の渋がとても凄い。タイミングをはかったかのように、杉本園の伴子さんが駆けつけてきてくれました。お土産と応援ありがとうね、肝っ玉母さん。

 これからの工程は、「中揉み」と「仕上げ揉み」になるわけで、普通の体験コースはここからということだ。

 中揉みは「揉みきり」といって、手を摺り合わせながら、茶葉を親指の上と小指の下から落としていく。茶葉は力を入れたところに向かうらしい。私のようなシロウトがやると、掌のなかで団子が出来ていく。これも難しい工程だ。ご主人曰く「縄ないが出来るなら出来ると思うが」ということだが、難しい。30分以上この工程をしていて、たったの1回しか出来なかった。奥さんから教わった時だけだけど(^^;;。このあたりから、茶葉を一定方向に揃えては拾って揉み切りをしていく(写真左下)。これもまた、いろいろテクニックがあるようだ。

 茶葉は黒緑色に変わってきていて、だいぶ撚れてきている。揉みきっていく時も水分はだいぶ出てきているのがわかる。続いて仕上げ揉み。「でんぐり」という工程(写真右下)では、残った茶葉の水分を転がすように押し出していく。手の腹から指先までを使っていく感じである。最後は「こくり」。これも結構難しかった。左右の指先を揃えて揃えた茶葉を掌中に逃げられないように転がしていく。形を整え、艶と味を出していく、職人にとって1番の腕の見せどころらしく、深すぎてわからない世界です。

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