●杏ジャムづくり

  1. はじめに

  2.  杏ジャムづくりは、長野に杏の花見に行ってからはまってしまいました。
    毎年6月末になると長野の友人に更埴産の杏を送ってもらい、ジャム作りに精進するようになり、早9年が経ちます。毎年10キロ程度作っていますが、作りたてはとっても美味しいです。最近ではそのときに買ってきた苗から成った杏でジャムを作るようになりました。まさにすべて自家製!。ほかにも自分の家でとれた果樹でいろいろなジャムを作っています。桃、夏蜜柑、紅玉、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、キウイ、ヤーコン、花梨etc。

  3. 材料

  4.  杏は新鮮なものを使います。ジャム用なので、大きさや表面の色合いは問いませんが、出来るだけ完熟したものを使いたいです。ともかく足が早いので、手に入れたらすぐに作ることです。

  5. 分量

  6.  ・杏   1,000g(種をとったもの)
     ・上白糖  600g
    10:6の割合です。砂糖はグラニュー糖の方が同じ糖度でもアッサリと仕上がります。

  7. 下準備

    • まず、杏を丁寧に洗います。腐っているものや、軟らかすぎるものは取り除きます。


    • 杏のへそ(枝がついていたところの付け根)に残っている枝を取り除きます。包丁の先とか爪楊枝を使うと楽に出来ます。



    よく洗います へたを取りましょう

    • 鍋にたっぷりの湯を沸かしておき、熱湯の中に杏を30秒ほどくぐらせ、ザルに上げます。
      これにより皮の表面に着いている雑菌を殺菌します。
    • 杏のおしり(縦にへこんだライン)に合わせて、ぐるりと一周包丁を入れます。


    • 包丁を入れたところを手で捻って半割にします。


    • さらに種も取り除きます。皮の黒い部分が気になる人は、取り除いてください。

    包丁で切れ目を これを半割にし

    包丁で切れ目を これを半割に

  8. 煮る

    • 半割の杏を正確に計量します。砂糖も杏の60%で量っておき、半量(30%+30%)ずつに分けておきます。
    • ホウロウ(なければステンレスでも良い)の鍋に、半割の杏を入れ、その上に半分の砂糖(杏の30%相当)を加えます。軽く混ぜて、水が上がってくるまでしばらくおいておきます。杏から水分が出てくるので水などは一切入れません。


    • 鍋を強火にかけます。鍋底がジュクジュク言ってくるので、木のへらで鍋底をすくうように絶え間なく混ぜていきます。弱火にすると水分が出てきませんから、焦げないように混ぜながら最後まで強火を維持します。
      (下の写真は、火をかけた直後、2分後、12分後です。LPガスでの結果ですから、都市ガスやIHの方は加減してください。以下時間については同じ)
    量る 煮る(その1)

    煮る(その2) 煮る(その3)



    • かき混ぜる手はやめずに煮ていくと、15分〜20分程度でアクが出てくるので、丁寧にすくいます。
      (下の写真は、火をかけてから17分後〜18分後です)


    • アクがとれたら、残りの砂糖を加えます。


    • いったん沸騰が収まりますが、更に煮ながら混ぜていくと、またアクが出てきますから、丁寧にすくい取ります。


    • 泡の感じが小さくなり、ほどよく粘りが出てきたら、鍋を火から下ろします。
    煮る(その4) アク取り

    砂糖を加える 煮る(その5)

  9. 煮終わりの判定方法


  10.  ジャムを作っていて悩むのは、どこまで煮込めばいいかということなんですが、一番簡単なのは冷ましてみることですね。 でも、それでは大変ですから、よくこういう方法が紹介されていますので紹介しておきます。
    • ジャムを少しへらなどで取って、冷水の中に垂らす。

    • ジャムが水の中に拡散することなく、下に沈めばOK。

     他にも、糖度計を使う方法や、泡の立ち具合で見る方法などがあります。ちなみに私は、泡の感じが小さくなって、少し粘りけが出てきて、チリチリという感じの声(音)が聴こえてきた時を終わりの基準にしています。

  11. 瓶詰め

    • ビン、キャップは、あらかじめ良く洗っておき、乾かしておきます。


    • 瓶詰めスペースにビンを並べます。


    • ビンに漏斗を挿して、レードルでジャムを入れます。
      この漏斗は銅板で自作したもので、ビンに合うように作ってあります。うちのビンのサイズでは、レードルに9割程度入れるとピッタリになります。


    • ビンにキャップをします。あとで、抜気滅菌する際に一度ゆるめるので、あまりきつくならない程度に締めます。緩すぎると次の工程で中身が鍋の中に出てしまいます。

    ビンとふた レードルと漏斗

    詰める(その1) 詰める(その2)

  12. 抜気滅菌


  13.  すぐに食べるなら、瓶詰め自体不要ですし、1〜2か月ならば以下の抜気滅菌はしなくてもいいと思います。1〜2年持たせるならば抜気滅菌(減圧滅菌)が必要になります。抜気滅菌しても3年も経過するとカビが生えるおそれがありますから、賞味期限は1〜2年と考えた方がよいです。
     尚、以下に書くのはあくまでも家庭での作り方というか滅菌方法です。せいぜい2kg程度を煮詰めた場合を想定して書いています。一度に10kgとか大鍋で大量に作って、詰めるビンの数が何10本もあるような場合、2度締めをすると非効率ですし、冷めてしまいかえってよくありません。瓶詰め作業も同じです。90度以下にならないうちにビンに詰めないと滅菌の効果はありません。

    • 瓶詰めしたジャムを斜めにしたりひっくり返したりしないように注意して新しい鍋に入れます。
      これは、あとでキャップをゆるめた時に、ビンの口に中身が出て口のまわりが黴びないようにするためです。


    • 鍋に水またはお湯を入れ、ビンの口まで満たし、火にかけます。


    • 沸騰して10分〜15分程度で鍋からビンを取り出します。このときも斜めにしたりひっくり返したりしないように注意して取り出します。しっかり挟めるトング(茶碗蒸し掴みなどという製品もあります)などがあればこれを利用しますが、ない場合にはシリコンの耐熱手袋などを使用します。シリコンの耐熱手袋は高価な上、手に入りにくいですが、あると便利です。煮沸といっても、ジャムビンのキャップの耐熱温度は95度です。フタをしないと95度ぐらいになります。


    • 左手でビンを持ち、右手でキャップを持って、キャップを開けたらすぐにまた締めます。このときは、緩すぎないようにしっかり締めてください。また、ビンはとても熱いので、シリコンの耐熱手袋などを使用するか、タオルなどでくるんで火傷しないように注意して扱います。


    • 鍋の水をあらかじめ少し足しておき(沸騰して減った分だけ足せば良い)、締め直したビンを鍋の中に入れます。ビンを入れてから水を足すと、急激な温度差でビンが割れるおそれがあるので、注意してください。出来れば別の鍋やヤカンにお湯を用意しておくといいです。


    • 再度ビン全体を加熱して、5分〜10分程度煮沸すれば出来上がりです。必要な加熱時間ですが、中心温度が90度で3分です。2度締めしないならば、中心温度が90度を超えていることを(放射温度計などで)確認して1回の加熱でできあがります。杏以外の色が変わりやすいジャムなどの場合には、短時間で仕上げた方がうまくいきます。


    • もうビンは横にしても平気なので、冷めないうちに鍋の水を切って、ビンを取り出し、逆さにします。…と以前まで書いていたのですが、急冷した方が色も長続きしますし、衛生上も好ましいので、自然放冷はしないほうが良いです。


    • 冷やし方ですが90度程度から15度まで一気に冷やすとビンが割れるおそれがあります。一度40度程度のぬるま湯につけてから、15度ぐらいの冷水につけて、しばらくかけ流します。温度ムラを作るとガラスは割れますから、鍋に冷水を蛇口から入れるのは避けた方が賢明です。

    ビンを煮沸する トングで取り出す

    最後は逆さにする 杏の山

 如何でしたでしょうか。抜気滅菌は他のジャムでも使える技術です。
慣れないとうまく空気が抜けませんが数をこなすうち出来るようになります。 最後に今年の杏の山を付けておきます。

 このところアクセス数が極端に増えたので、一部加筆しました。加熱後の急冷のやり方については、小池手作り農産加工所の小池芳子先生に教わりました。お礼を申し上げます。また、果樹栽培の趣味が高じて、今年からブルーベリー園を始めることにしました。お近くの方は是非どうぞ。

 おいしいブルーベリージャムの作り方については、こちらから。

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